=============カラー型のレポート(?page+写真)================= ●カラー型 カラー端末では、モノクロ端末、フラット型端末とは違いさまざ まな色を表示することができることが大きな特徴である。Window system を使うならいろいろ絵を表示されてみたいものだが、絵を 見る時にはやはりカラーでないと悲しいものである。 ここではカラー型ディスプレイを持つ製品を幾つか紹介する。 ◎日本電算機 Global XRC, SuperXR 日本電算機株式会社のX端末は Global Xシリーズと Super Xシリー ズがある。Global Xシリーズは RISC搭載のX端末である。Super X シリーズはXサーバーアクセラレータを搭載したX端末である。ディ スプレイは Global Xシリーズには20,17インチサイズが、Super X はSuper XR には21,20,17,15インチサイズが用意されている。ここ ではカラーディスプレイを持つ機種として Global XRC とSuper XR の2機種をテストした。 Global Xシリーズと同じくCPUにRISCを採 用しており非常に高性能である。 ◇ハードウェア 製品納入時に送られてくるのは日本電算機のモノクロX端末と同 じく、本体、ディスプレイ、キーボード、マウス、インストールマ ニュアル、コンフィグレーションマニュアルなどが送られてくる。 本体については外見はモノクロのタイプと同じである。電源は後 面にハードウエアスイッチが前面にシステムスイッチがある。メモ リは4MBから32MBまで実装可能であり、あとでSIMMをつかって拡張 することができる。 CPU は Global XRC, Super XR どちらも RISC のR3000A を使っており非常に高速である。また、XSA(Xサーバアク セラレータ)を搭載しており画面描画も高速におこなわれる。 ディスプレイは高解像度カラーブラウン管で、ノングレア, 0.26mmトリオピッチ、インライントリニトロン使用、ラスタースキャ ン 74Hz ノンインターレスで非常にみやすく、カラーもきれいに表 示される。解像度が1280x1024 pixelであり、14ドットフォントで は少し小さ過ぎるが、本体内のROMにある16ドット、24ドットのフォ ントなどを利用すれば問題ないであろう。また、色数は 16,772,216色中256色同時表示可能となっている。 ディスプレイについては、GlobalXには他に17インチが、SuperX には他に 21インチ(ラスタースキャン72MHzノンインターレス),20 インチ(ラスタースキャン74MHz/60MHzノンインターレス), 17イン チ(ラスタースキャン60MHzノンインターレス), 15インチ(1024x768 pixel, ラスタースキャン70MHzノンインターレス)も用意されてい る。 ネットワークはどちらもイーサネットの Thin(10BASE2), Thin(10BASE5)が用意されている。 またキーボードは日本電算機の他のタイプと同じくAX,PC/AT、オ リジナル,JISの4種類から選ぶことができる。 シリアルデバイスとしてRS232Cのポート(25pin)がある。これを つかってSLIPをつかったX端末として使うこともできるらしいが今 回は試していない。 マウスはオプトメカニカル3ボタン方式のものである。SuperXR では メカニカル3ボタン方式のものもあるようだ。 ◇ネットワークへの接続 ネットワークの接続については、日本電算機のモノクロやフラッ ト型のX端末と全く同じである。違う点はXのサーバープログラムだ けである。サーバープログラム名を然るべきものに変更すれば、後 は同じように設定すればよい。 ◇総合評価 本機に限らず日本電算機のX端末に関しては接続方法、セットアッ プによる設定の変更からディスプレイの視認性、キーボード、マウ スの操作性に至るまで全体的に扱い易い印象を受けた。またディス プレイのカラー表示は美しく、描画速度も速いので好感が持てた。 ただディスプレイは思った以上に場所を取るのでスペースが十分な いとおくことができない。SuperXR とGlobal XRC の違いは描画速 度の違いだけであろう。Global XRC も比較的高速ではあるが、 Super XR はモノクロタイプである Global XM Global XRM を越え る速度であり、かなり速い。 ◎伊藤忠エレクトロニクス CIT-XE256C+ 伊藤忠エレクトロニクスのカラー機種CIT-XE256C+はCPUに40MHzの TMS340Xを搭載し、17, 19, 21インチのディスプレイが用意されて いる。ここでは19インチのディスプレイをテストした。 ◇ハードウェア 製品納入時は送られてくるものはモノクロタイプと同じである。 したがって、カラータイプでもモノクロタイプと同じくマニュアル はユーザーズマニュアルだけであり、モニターモードやリモートコ ンフィグレーション機能などについて詳しく書かれたスーパーユー ザーズマニュアルはついてこない。やはり、スーパーユーザーズマ ニュアルもないと不便である。 本体の電源については他の伊藤忠のX端末と同じく、ソフトスイッ チだけであり、不便であった。電源を入れるためにも約2秒近く押 し続けなければならないし、サーバーがハングアップした時も電源 スイッチでは落すことができずしかたなくresetしなければならな いことがあった。電源OFFをセットアップ画面から行なえるのはよ いが、いざという時のためにやはりハードウエアスイッチも欲しい。 ネットワークに関しては、デフォルトのコネクターはthick用と なっており、別売りのオプションボードをスロットに入れることに よってthinまたは10BASE-2に切替える。テスト機にはthin用のボー ドが入っていた。 メモリーはデフォルトで4MB, 以下8, 12, 20, 24, 36まで SIMM をつかって拡張することが出来る。 17インチのディスプレイは大き過ぎず、小さ過ぎずといった感じ である。カラーも256色同時表示でうつくしい。描画速度もモノク ロタイプと比べてそれほど遅くはなかった。 キーボードは伊藤忠オリジナルのAXタイプであり、この他にPCタ イプのキーボードも用意されている。キータッチはやや堅めである。 ◇ネットワークへの接続 CIT-XEはサーバープログラムをROMに内蔵しているため、イーサ ネットの接続には手間がかからない。したがって、ホストマシン側 でX端末のホスト名,IPアドレスを登録すれば接続が行なえる。接続 にかんしては他の伊藤忠のモノクロ、フラット型のX端末と同じよ うにすればよい。 また マニュアルに即してやれば容易に設定を変更することができる。 ただし前述したとおり、モニタモードのコマンドの詳しい説明や、 リモートコンフィグレーション機能はスーパーユーザーズマニュア ルにしか載っていないので注意が必要である。 ◇総合評価 この機種ではスーパーユーザを対象としたマニュアルが付随してこ ないため、困る場合があるだろう。また、thick, thinの切替が容 易でない、電源回りの操作性が悪いなどあまり使いやすくはなかっ た。また、速度も遅いのが気になった。逆に、本機のメリットはネッ トワークへの接続のしやすさにある。ROM内蔵のサーバを使えば他 機種と比べてサーバプログラムをインストールしたり、tftpd を動 かしたりする必要がないため極めて簡単に接続ができる。 ◎ NCD(Network Computing Devices) NCD19c NCD の NCD19c はCPUにRISCの88100を搭載したX端末である。ここ では NCD19c の 17インチのカラーディスプレイを使ってテストし た。 ◇ハードウェア 製品納入時には、本体、キーボード、マウス、マウスパッド、ディ スプレイ等とブート/フォントテープ、インストール説明書、ユー ザーズマニュアルが送られてくる。 本体はピザボックスタイプであり、大きさ、重さとも普通である。 本体にはモニタ、キーボード、マウスなどの端子の他に RS232C(25pin)端子、Thick および Thin のコネクタと切替えスイッ チ、ハードウエア電源スイッチ、モニタ用サービスコンセントがあ る。ソフトウエア電源スイッチはない。本体は動作中も非常に静か である。メモリは 7MBが実装されていたが、SIMM を使って 24MB まで拡張できるようだ。 ディスプレイは 17cr という 17インチのカラーディスプレイを 使用した。このディスプレイも他のX端末と同じように奥行きがか なりあるのでおく場所の注意が必要である。解像度は 1240x1024 pixelで、256色同時表示可能である。やはりカラーはフラット型や モノクロに比べて画面が美しく見やすい。 ネットワークに関しては Thick(10BASE5) と Thin(10BASE2) の2 種類が用意されておりコネクタの近くの切替えスイッチでどちらを 使うかを選ぶことができる。 キーボードは NCD のオリジナルのキーボードだと思われる。キー タッチは若干重いような気がするが慣れれば結構快適である。キー の配置も普通の ASCII 配列をしている。 マウスは Logitec のメカニカル3ボタンマウスで、今回テストし たX端末の中で唯一マウスパッドが付属していた。 ◇ネットワークへの接続 まず、ホストマシンにブート/フォントテープをロードする必要 がある。サーバイメージの大きさは約1から1.5MBである。また、ブー ト/フォントテープの内容はサーバイメージ、ツール、ツールのソー ス、フォントなど全部で約37MB必要である。 サーバイメージは2種類あり、Xncd19c という名前の標準サーバ とXncd19c_lt という名前のローカルクライアントサーバがある。 Xncd19c はサイズが約1.2MB、Xncd19c_lt はサイズが約1.9MB ある。 ブート/フォントテープをホストマシンにロードすると次にテー プから展開された ncdinstall というシェルスクリプトを実行する。 このインストールスクリプトの質問に答えていくとサーバイメージ やフォントなどが適当な場所にインストールされる。 次にリモートコンフィグレーションファイルを作成する。テープ をインストールしてできた example/config ディレクトリにある config.example がサンプルなのでこれを参考にすればよい。リモー トコンフィグレーションファイルのファイル名は X端末の IP アド レスを16進数を用いて表した値が使われる。すなわち IP アドレス が 192.43.153.79 ならば 192 -> C0, 43 -> 2B, 153 -> 99, 79 -> 4F なので C02B994F がリモートコンフィグレーションファイル として使われる。このファイルがオープンできない時は ncd_std をオープンしようとするので複数の NCD の X端末を使いリモート コンフィグレーションファイルを共有する時は ncd_std にコンフィ グを書き込んでおけばよい。 ホストマシンでは NCD がサーバイメージをダウンロードするた めに TFTP を使うので tftpd のセットアップを行なう必要がある。 ホストマシンでのセットアップが終った後に、NCD の電源をいれ る。するとメモリチェックを行なうのでその時に ESC キーを押す。 すると、ROMモニターモードに入る。ROMモニターモードに入れば bt コマンドを使って > bt Xncd19c <サーバイメージを持っているホストのIPアドレス> を実行すれば、TFTP を使って Xncd19c というサーバイメージが NCD にダウンロードされる。ダウンロードが終了すれば画面全体が 一色になる。このあと Setup キーを押して Setup モードにする。 Setup モードで X server parameters, Network parameters, Protocol parameters をセットし、Main menu の Save Power-on Value をクリックしそれを NVRAM に保存する。 ホストマシンで XDMCP をサポートした xdm を動かせば、自動的 にログインバナーまで実行されるようになる。 これらのことはマニュアルに詳しく書かれているので、その通り に実行すれば間違えることも少ないだろう。 ◇総合評価 ディスプレイも見やすく、キーボードもよくできており、マウス の操作性もよかった。カラーの描画速度もかなり速く不満な点はな い。ただ、これはフラット型以外に全ていえることだが、ディスプ レイにかなりのスペースがいる。特に奥行きはかなりあるので、そ れだけ机に奥行きがないとキーボードをおく場所などがほとんどな くなってしまう。 全体的には非常に扱いやすい X端末であった。